情報提供者: Keiminn さん


 私は、会社の人と3名で、初めて訪タイしました。これは1月10日、私が単独行動中、何時の間にか宝石詐欺集団に引っかかってしまいましたが、1B(バーツ)の損害も出さずに、逃げおおせたという話です。

 この話には、11名の人物が出てきますが、その内、私に深く関ってくるのは、4名です。まずは、その4人について、彼らが、語った事やその特徴を述べます。(遭遇順に記載)

 (タイ人青年)
自称、シラパコーン大学の学生。TATにも所属。今度、オーストラリアに語学留学に行く。妹がおり、Thai・EXPORT・CENTERに勤めている。彼は、タイ語なまりの英語と少々、日本語も使う。

 (トゥクトゥクの青年)
名前は、ボクシン。年は、21歳。人懐っこい笑顔が、印象的。英語・日本語を片言ながら、話す。車には、日本のマンガ・キャラクターのシールを所々に貼っている。感情が、表情に出やすく、そのことが、後に大いに役立った。

 (米国在住、中国系タイ人)
名前は、ワン。祖父の代に中国から、タイに来る。額は、後退気味であるが、年は、30後半〜40前半ぐらい。かつて、バンコク銀行に勤務していたが、安月給と自分の能力に見切りをつけ、渡米。現在は、米国で(都市名は、失念)タイ料理の店を経営。明日、米国に戻る。
 非常に聴き取りやすい英語を話す。日本の事も少々知っており、日本で食べたうなぎの蒲焼きや焼魚定食が、好きだと言っていた。彼の印象は、澄んだ目をしており、話方や物腰から、穏やかで、誠実そのものという感じである。今もって、彼が詐欺師の一味だとは、信じられないくらい。
 タイには、ホーム・シックで帰ってきたということであったが、あとで、その理由が、明らかになる・・・・。

 (中年男性)
失礼だが、マレーシアの首相、マハティールにどことなく似ている。埼玉県の大宮市に、姉が珈琲ショップを経営しており、来週訪日の予定。最初、話し方は非常に穏やかであったが・・・・・・。

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 王宮の出入り口から、ナ・プラ・ラーン通りを右にでて、ワットポーを目指し、歩いていました。前方に一人のタイ人青年が、いたので、早足で抜き去ろうとしたところ、彼に声を掛けられました。
 私がタイ語で挨拶すると、彼は、君はタイ人か?え、日本人!タイは初めてかい?何日滞在してるの?ホテルはどこ?という感じで会話が始まりました。話の内容は、上記のことを除けば、ほとんど彼の自己紹介的なもので、今から思えば、一方的に自分の事をしゃべっていました。それが、一通り済むと、彼は、「今から、彼女と久々のデートなんだ。君は?」と聞いてきました。
 私が、ワット・ポーに行って、ワット・アルンと応えると、彼は、「君は、昨日のニュースを見ていないの?今日は、特別な行事があって、午後1時までワット・ポーは、空いていないよ。」という。そして、続けて「僕は、TATに勤めているから、好い所を教えてあげるよ。君の地図とペンを貸してみ。」というので、空港のTATでもらった地図とペンを差し出すと、
 「まず、ここがいいな。」と言って、TANAO通とRATCHADAMNOEN通が、交差する一角に黒丸をした。「ここは、ASIAN TEMPLE、ワット・タイと呼ばれるところだ。次は、僕の妹が勤めているんだけど、THAI・EXPORT・CENTER。ここは、ツーリストは、全く入れないけど、今週は、特別に入れるんだ。ルビー・サファイアがあってね。買うこともできるし、見るだけもできる。ああ、ここは、政府の機関だから安心して好いよ。そうだな。ここを回って、またワット・ポーに戻れば好い。トゥクトゥクで20Bで行けるよ。」と彼は言う。
 正直言って、この時点では、私の態度は、曖昧なままでした。そして、彼が、騙しているとは露ほどにも考えませんでした。ただ、アユタヤで交渉したけど、トゥクトゥクが、20Bでほんとに行くのか?と逡巡していると、彼が、「トゥクトゥクも、正規じゃないやつがあるから。」と言って、手を上げると、一台のトゥクトゥクが、我々の前に停車しました。
 彼は、「こことここに行って、最後は、ワット・ポー。20Bで行ってくれ!」と運転手に口早に言うと、その勢いにつられて、私は、車中の人に・・・・・・。参ったなあと思って、前を見ると、ミラー越しに運転手が、にこっと人懐っこい笑顔を返して来た。まあいいかあ。でも、20Bで彼は、承諾したのか?と私が、小金のことを、心配しているのをよそに、車は、バンコク街中を快走していく、、、、、、、。     (続く)

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 気持ちが曖昧なまま、乗り込んだトゥクトゥクだったが、運転手のボクシンと名乗る青年との片言での会話は、結構楽しかった。お昼になったら、一緒に飯でも食べようかという気になっていたところ、車をわき道に止め、地図を見せてくれときた。そして、ここだな?と確認して、車を再び走り始めさせた。(今にして思えば、これも彼らの手口の一つに違いない)
 で、ようやく、目的地に着いた。しかし、そこは、お坊さんを見かけたが、寺院という感じがせず、田舎の公民館のような所に仏像が安置してあるのが、フィルム・シートを貼った窓から見えた。そして、その方向に向かって、お祈りをしている男が、いたので、ここが入口かな?と思い、戸口に手をかけたところ、彼が、“そこは、空かないよ”と声を掛けてきた。
 そして、それがきっかけで、話を始めた。彼が、語る所によると、中国系タイ人で、現在は、米国でタイ料理の店を経営している。渡米する前は、バンコク銀行に勤めていたこともあったが、安月給と銀行マンとしての能力に見切りをつけ、新天地に活を見出した。日本に行った事があり、その時食べたうなぎの蒲焼き定食、特にお吸い物が好きだ。などなど、実に聴き取りやすい英語で彼の話が、これまた一方的に続いていく。
 ところで、明日、アメリカに帰国するんだけど、君は、これからどうするの?と予定を聞いてきた。その時、実はあまり気乗りしていなかったTHAI・EXPORT・CENTERのことを彼の人柄を見こんで、口に出したところ、彼は、“なぜ、そこを知ってるの?…え?学生から聞いた?変だな。何故、学生が知ってるんだ?…そうか!TATの職員なのか! それなら、納得だ。”
 そして、彼は、あの学生と同じような内容をしゃべり出すと1枚の領収書を出してきた。“実は、ルビーやサフィアの宝石には、購入した時、195%の税金が、かけられる。しかし、今週は、特別で税金は、一切かからない。もちろん、この書類があれば、出国時も税金は、ゼロだ。私は、この時に買った宝石を200%の利幅をつけて、日本の御徒町にある宝石店に売りに行くんだ。毎年、そうやって旅行費用を稼いでる。君は、ラッキーだな。ぜひ、行くべきだよ。なに、こんなことを教えるのも、同じアジア人だからだ。髪や目、肌の色も全部同じじゃないか。欧米人には、こんな事は教えない。と、彼は、しきりにTHAI・EXPORT・CENTER行きを進めた。
 私は、宝石買っても、売りにはいけないな、と思いつつも、彼が話した、その仕組みにがぜん興味を持ってしまった。銀行員の才能がないと言っていたけど、さすが華僑だな、と感心する事しきりだった。
 結局、お寺見物しないまま、彼と別れ運転手に行く先を告げた。 “THAI・EXPORT・CENTERへ”

                  (続く)

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 再び、車中の人となった訳であるが、相変わらず、この運転手は、にこやかに屈託のない感じで声をかけてくる。しばらくすると、車を脇に停めて、再び地図を見せてくれときた。そして、念を押すようにここだね?と言って、車を走らせる。
 そして、ようやく目的地のThai・EXPORT・CENTERに着いたよ。と言われて、彼が指差した所に、目をやると看板も何もない、こじんまりした店だった。今から思うと、これは絶対におかしい!と思うべきだったが、その時は、ちょっと変だな?と思うだけで、そのまま店内に一人入って行った。
 店内に入ると、男が、1人。女が、4人の計5名がいた。店内の様子は、ガラス・ケースに宝石が、展示しているだけ。店内も12畳ぐらいの広さで、どこか寒々しく、拍子抜けする感じであった。
 男が、私に近寄ると、日本人か? タイは初めてか?と尋ね、宝石を買うんだったら、ルビーとサフィアの1セットで買ってくれと、ガラス・ケースの中を指差した。値段は、2つで約90万B…。男は、カードで買える。お前は、JCBをもっているか?と聞いてくる。
 さっき、会ったワンも同じような事を言っていたなと思い出しながら、一通り店内を物色していると、今度は、その男は、小包みのあて先を見せながら、お前以外の日本人もここで買っているよ。と言って来た。
 住所は、千葉県の鴨川市になっていたが、名前は、どう見ても日本人ではなかった…。(これを見せられても、絶対に変だとは思わなかった。)到底、買える金額でないと分った私は、その店から出て、運転手に行こうかと声をかけると、
 彼は、宝石買った?…え?買っていない。どうして、買わなかったの?と急に沈んだ声になった。彼の態度が、急に沈んだものになったので、少し気の毒な感じがしたが、宝石は、興味なかったんだ。と言っても、彼は、なんで買わなかったんだ?と繰り返し、哀しい口調で訴えて来た。
 もう、行くべき所は行ったから、ワット・ポーへ行こうよと言うと、彼は、自分の時計を指しながら、まだ時間あるよ。僕が、知っている良い寺院があるから、そこに行こうよ、と言ってきた。
 さっきのことで、少し気の毒になっていた私は、しょうがないなという感じで、彼の提案を受け入れた。車の中から、通りすぎる街の風景を眺めながら、気まずさを感じていると、彼は、私の気配を悟ったらしく、大丈夫!大丈夫とミラー越しに言って来た。
 この後、彼の言葉とは裏腹な出来事が待ち構えているのも知らず、ひたすら街の風景を眺めていた・…。

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 着いたよ、という声に促されて、降りた所は、名前は分らないが、近所の人が、お参りに来ているという感じで、好い意味でこじんまりとしたお寺だった。金色の仏像を眺めていると、一人の男が、スゥーッと寄ってきて、少々聴き取りにくい英語でその仏像の説明を始めた。これは、ラッキー・ブッタと言って…。近所の人は…。などなど。
 そして、おもむろに、あそこの廟も見てくれと指を指し、彼に勧めに従い、そこに入っていた。そこでは、名のある高僧だったんだろうと思われる像が、安置されていた。
 それから、ここを出て、車に戻ろうとすると、さっきの男とは、別な男が、声を掛けてきた。日本から、来られたんですか?実は、私の姉が、埼玉県の大宮市にいましてね。来週、彼女を尋ねて、訪日します。
と慇懃な口調で話はじめた。
 そして、私を手招きしながら、この廟について説明しましょう、と再び廟の中に入っていった。彼は、像に付いていた金箔をちょっと剥がすと、私の親指と人差し指の間に着け、タイの人々は、このようにして、自らの幸運を祈るのです。と説明し、さあ、ここに座りなさい、と廟内の一角を指し、お互いに座って、話をはじめた。彼は、先程、彼女を訪ねて、日本行くといいましたね。実は、日本に行く目的は、もう一つあるのです、と切り出し始めた。
 話の内容は、ワット・タイでワンが、私に話したこととほとんど同じでした。今週は、宝石に税金が、かからない。この時に買った宝石を日本に売りに行く…。これで、さすがの私もやっと目が覚めました。
同じ日に、2回も、しかも別人から、同じ話聞かされるなんて、変だ!!
 彼の話が終わると、気もそぞろに車に乗り込むと(なんて、馬鹿なんだろう!!)、私の態度に気が
ついた男が、今度は、厳しい顔色と口調で、迫って来た。宝石なんか買わないよ!と私が言うと、その男は、“何?、ガソリン代かかってんだぞ!ホテルの部屋番号を教えろ!”(聞取れたのは、これだけ)と厳しい口調でまくしたて、タイ語でもなにやら言っている。
 まわりを見回すと、トゥクトゥクの青年は、痛々しい表情で、私を見ていたし、私の背後をみると、背の高いがっちりとした男が、胡散くさそうにこっちを睨んでいる。あの男は、以前として何やら言って、脅かしている。車の中にいるせいで、視覚がさえぎられていたが、最初に声を掛けてきた男もグルだな…。全部で4人か…。ここじゃ、不利だな…。と考えた途端、トゥクトゥクの青年の弱々しい表情が頭に浮かんだ。
 “OK,OK!宝石屋に行こうじゃないか。あんたの言う通り、宝石屋に行くよ!”と自分でも情けないと思うぐらいの声で、言うと、男は、運転手にタイ語で何やら言うと、車を出してくれた。
 敵を4人から、1人に減らす事には、成功した。しかし、ここは、どこだろう??…・

                    (続く)

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 車が、街中を走る中、何とかせねばと思い、目を皿のようにして、あたりを見まわした。すると、車の横をバイクに跨った制服を着た男が、通りすぎようとした。彼に声を掛けようか?いや、タイの警察は、信用出来ないと言うし…、と迷っているうちに、彼は、通りすぎてしまった。
 ミラーを見ると、運転手は、明かに動揺していた。早く、脱出せねば、、、と思うと、白人旅行者が、向こうから歩いてくるではないか! 今しかない、と思い、大声で“止めろ!”と叫んだ。
 運転手は、いやいやながら車を停めると、私は、地図を突き出し、俺は、ワット・ポーに行きたいんだ!宝石屋には、いかん!ここは、どこだ!と聞くと、彼は、Phra Athit RDと書かれた地点を指差した。白人青年が、すぐそこまで来ている事を認めると、すばやく、車から降り、彼に道を尋ねた。
 その間に、運転手は車を走らせ、私の目の前から消えていった。白人青年に道を尋ねたところ、ここは、運転手が、指差した通りだった。ワット・ポーに行きたいのだが?と聞くと、この近くに、船着場があるからと言って、そこまで案内してくれた。
 川風に吹かれながら、Tha Tian船着場に到着。ワット・ポーに向かうと、たむろしていた別なトゥクトゥクの運転手曰く、“今日は、一時まで空いていないよ!”
 私は、“コープ・クン・カップ!”と大声で言って、怪訝な顔をしている運転手のそばを通りすぎ、ワット・ポーへ向かいました。     
                     (終)


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 騙された日の夕方、同行者と合流し、サイアム・スクウェアにあるタイ料理のレストランに行きました。ここは、タイ舞踊のショーが、見られるというガイド・ブックに載っていたので、選んだのですが、、、、。
 なんと、ここでは、料金を上乗せして、請求しようとしていました。注文した“トム・カー・ガイ”が、来なかったのでオーダー票を確認したら、頼んでもいない数字が、あったので、抗議したら、“あなたが見たメニューは、この店のメニューではありません!”と訳のわからない事をほざき、ようやく、“あ、私の間違いでした”と言って、数字を書き換え始めました(笑)計算すると、200Bも違っていました(笑)
        
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            トラブルの情報提供ありがとうございました。

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